奏身舎のご紹介 |
2009年秋、「奏身舎」は那須疎水が傍らを流れる、林の木立の中に誕生しました。
JR那須塩原駅、黒磯・板室インターチェンジからもほど近く、牧場、田畑が広がり大自然の恵み豊かな環境にあります。
地元八溝杉を用いた合掌組。ホール内壁は、総勢40名の協働作業による漆喰塗装。自然素材でつくられた芸術空間です。
これから訪れる様々な方と豊かに響きあい、交流できる場になりますように…
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響きの空間 |
吹き抜けの木造空間に漆喰を施したためだろうか、ほんとうに良く響く。ホールでリコーダーを奏でたり、母音を発生すると、余韻とともにまわりから包み込まれるようにやわらかく響いてくる。
昔の神殿や寺院の音響が素晴らしいのは「響きの震動が肉体の耳だけではなくアストラル体に大きな影響をもたらすことを作り手が知っていたからだ」とシュタイナーは「黄金伝説」のなかで語っているが、セレモニーにおいても、響きの海のなかに身をおくことで、不思議な一体感が生まれたのだろう。豊かな響きの空間は、まさにエーテル空間。生命的な振動のなか、互いに解け合い、融合できるのだと実感した。
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ホールの構造、素材、設備 |
ホールを支えているのは、垂直の柱と、両手を合わせた形の「合掌」の構造。そして真っ白な漆喰の壁が、独特の凛とした雰囲気を醸し出している。
稽古場面積は12.74mx8.190m=104.34m2。縦横は黄金比に近い。
「合掌」組みの屋根は洋風トラスとも呼ばれ、木造で大空間が可能。かつては駅舎や講堂に用いられたそうだ。天井の高さは最大6.5m。
地元産の八溝杉に大工さんの手刻みで臍(ほぞ)が切ってある。床は松の無垢材にリボスを塗布。特に指定したわけではないが、シュタイナーの弟子が起こした自然塗料の会社だった。天井の梁には、レールをつけ、9個(3原色×3)のカラー照明を設置。白い漆喰に映る色光はまるで生きているようにやわらかく息づく!
舞台下手にあるピアノは60年以上前のアップライト。象牙の鍵盤からはやさしい音色が響く。
コーナーにある大型の薪ストーヴで暖をとる。ほんものの炎のあたたかさ。美しさ。そして静けさが感じられる。
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みんなで仕上げた漆喰の壁 |
ホールの壁は、プロの左官による漆喰仕上げ+素人の協働作業による。素材の生石灰クリームも、現場で生石灰と水を混ぜ合わせた手作り。
左官の本田匠さん(本名です!)の指導のもと、正面と背面の大きな壁は、2日間にわたり、子供から大人まで延べ人数50人近くが参加し、漆喰を塗った。左から右へ移動しながら刷毛を重ねるムカデと呼ばれる技法は、多くの手が重なることで、個人のクセが薄まり、全体として調和が生まれるとのこと。一か所に留まり動かずにいるのはダメなのだ。なるほど!
シュタイナーは「社会の未来」において、「オイリュトミー芸術は最上の意味で社会芸術であろうとしている」と語っていたが、まさにその稽古場にふさわしい協働作業で仕上げられたのは幸せなことだった。出来上がった壁は、不思議なあたたかさが感じられる。
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共鳴しあう場として |
自宅兼稽古場として個人で建てたささやかなホールではあるが、このように、いろんな人たちの関わりを通して完成した「奏身舎」。今後、オイリュトミーの稽古、発表の場としては勿論のこと、地域に根ざした芸術・文化活動の場となるように。
響きの海の中で共鳴しあう、生命的な文化の創造を目指して…オイリュトミー芸術そのものが、その可能性を開く鍵となることを予感しつつ!
どうぞ「奏身舎」をこれからよろしくお願いします!
ご利用になりたい方、関心ある方、どうぞお問い合わせください。
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